Dr'sコラム

月曜の朝に会社に行くのがつらい方へ~適応障害、うつ状態、休職など~

皆様こんにちは。南浦和駅前町田クリニックです。

皆さまの中に、月曜の朝に会社に行こうとすると吐き気や腹痛・動悸がして出社がつらい、と感じたことのある方はいらっしゃいませんか?

休日は比較的元気にすごせても、月曜の朝になりいざ出勤しようとすると嘔気や腹痛・動機が出現したり、気分がひどく落ち込んで会社に行けなくなってしまう方がいらっしゃいます。このようなことは若い方からベテランの方まで、男女問わずよくあることです。

この原因の一つとして、会社での慢性的な過労や人間関係などを背景として自律神経症状や抑うつ症状が出現している可能性が考えられます。自分ではそれほど重くない、すぐに治る、と簡単に考えて当初は何とか頑張って出社できていても、次第に身体症状が強くなったり、疲れやすさや落ち込みなどの二次的な抑うつ症状が悪化してしまうこともあるため、無理は禁物です。

症状がある程度軽ければ、働き方を工夫してもらい勤務を継続することができるでしょう。しかし一定程度以上の症状がある場合には、思い切って休職をしたほうがよいこともあります。ある程度の間お休みしてでもしっかり心身の調子を整えるほうが、長い人生においてプラスになることも多いものです。会社をお休みしている間は、起床と就寝、食事のリズムだけはくずさずにリラックスして毎日を過ごしてみてください。徐々に元の余裕をとりもどせることと思います。

いかがでしょうか。このようなことでお悩みの際には、ぜひ早めに職場の同僚や上司、保健師と相談したり、心療内科・精神科を受診してみることをお勧めいたします。くれぐれもお一人で抱え込まれずに、お気軽にご相談くださいね。

ADHDの薬物治療~コンサータ、ビバンセによる児童期・思春期からの早期治療の有効性~

皆様こんにちは。南浦和駅前町田クリニックです。

【厚労省】「コンサータ錠」の処方や流通対策を指示

上記の記事にもありますように、コンサータ及び新規発売薬のビバンセが、流通規制されることになりました。これまでコンサータを服用されてきた方にとっては一定の猶予期間がありますが、いずれは氏名等を医療機関と薬局にて登録の上、診断・処方を受けるたびにIDカードを毎回提示する必要が出てきます。

ADHDの正しい診断・検査・治療が行のために万全の体制がとられるのは良いことと思いますが、これにより患者さんが不利益を被ることのないよう留意して参りたいと思います。当院でも、新体制に対応するべく現在準備を進めております。

~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪

さて今日はコンサータ錠(メチルフェニデート徐放錠)に代表される中枢刺激薬による物質(アルコールやタバコ・薬物)乱用依存リスクについて、「むしろ中枢刺激薬を使うと物質依存リスクや反社会性リスクを減らせるかもしれない」というベネフィットの方向から考えてみたいと思います。

そもそもADHD患者さんは、不安障害や気分障害にくわえて、物質使用障害の併存リスクが一般人口と比較して高いと一般的には言われています。

しかしあるメタ解析研究(総患者数は、中枢刺激薬治療群が674人、非薬物治療群が360人)では、児童期に中枢刺激薬による治療を行うことで将来の物質乱用依存リスクを約2分の1に軽減すると言われています。

また別の前向き研究(6~18歳のADD HD患者114人を前向きに5年間追跡)でも、中枢刺激薬治療群では中枢刺激薬以外の治療群と比較して有意に物質使用とニコチン依存の頻度が少なかったという結果がでています。以上より、中枢刺激薬を早い時期に服用したほうが将来の依存リスクを軽減する可能性があります。

他にも、児童期にメチルフェニデートを投与したADHD患者176人について思春期後期および成人期まで追跡したところ、治療開始年齢が6~7歳と早い群では治療開始が8~12歳と遅い群よりも、将来の薬物乱用および反社会的パーソナリティ障害の発現が有意に低いことを報告した論文があります。

このように、中枢刺激薬を適切に児童期に用いることでADHD患者さんの依存性物質への保護的な作用をもたらすことから、ADHD児童においてはメチルフェニデートの徐放錠の作用は依存リスクとして考えるよりも物質依存/2次障害を予防しうるベネフィットとも考えられるのです。

~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪

当院では年齢にかかわらず、ADHDと診断された患者さんとともに、今ベストな選択は何なのか、それが薬物治療であるとしたらどんな薬物なのか、どのような服用方法が好ましいのか、などについてお子さんや親御さんの考え方を十分に組み入れてご相談に応じています。

もちろんADHDに限らず、気分障害圏、不安障害圏など様々な方のお薬のご相談を承っております。お困り事がありましたらお気軽にご相談くださいね。

レキサルティ~不安障害、うつ病、引きこもりへの改善効果~

今日は昨年4月に発売されたレキサルティ(ブレクスピプラゾール)について、お伝えしたいと思います。

レキサルティはセロトニンとドーパミンを共に調節するSDAMというジャンルの統合失調症薬です。陽性症状や不安、感覚過敏への効果がしっかりありながらも賦活作用が少なく抗不安作用や認知機能の改善効果が期待できる一方で、従来の薬よりアカシジア・生理不順・体重増加・アジテーションなどの副作用がでにくいと言われています。

実際に自分が使わせていただいた経験からも、不安や感覚過敏陽、陽性症状を抑えながら意欲を引き出し不安感を抑え、副作用もほとんど出ないという印象があります。レキサルティに変薬してからQOLが改善した方も多く、良い感触を受けています。用量設定が1mgと2mgの二つしかない事も、服薬管理がしやすいという利点につながるのではないでしょうか。

適応について、米国では大うつ病の補助薬として承認されており、また双極性障害の臨床治験もグローバルに始まっているそうです。今後日本でも適応が広がる可能性を秘めていると考えられます。

当院では統合失調症に限らず、気分障害圏、不安障害圏など様々な方のお薬のご相談を承っております。お薬のお困り事がありましたらお気軽にご相談くださいね。

ADHDと睡眠障害・日中の眠気について

こんにちは、南浦和駅前町田クリニックです。

 今日は、ADHDと日中の眠気の関係について考えてみたいと思います。ADHDとは、注意のむらがある、忘れ物が多い、などの不注意症状や、落ち着いていられない、などの多動・衝動性症状があるものです。サブタイプとして不注意優性型、多動衝動型、それら二つの特徴を併せ持つ混合型があります。
 さて、このADHDの方は、そうでない方に比べて、様々な睡眠障害をより高頻度に伴うことが知られています。たとえば入眠困難、睡眠維持の障害、朝スムーズに起きられない、日中に過度の眠気を生じる、などです。これらの睡眠障害を放っておくと、二次的に注意欠陥症状や多動症状が増悪し、悪循環に陥ってしまうことがあります。
 特に思春期以降のADHDの方の中には日中の眠気を訴える方が多くみられ、これは脳の注意・覚醒を維持する機構がうまく働いていないことと関係していることが示唆されています。
 日中の眠気というのは結構深刻な問題です。学生の方ですと、授業中に寝てしまうことから学業不振や不登校、ひいては退学につながることがあります。社会人の方ですと、業務に支障に来たし上司に叱責されるなどして、二次的にうつ症状を発症したり退職に追い込まれたりすることも少なくありません。
このような場合には、コンサータというお薬がよく奏功することがわかっています。コンサータはドーパミンという物質に作用して脳の報酬系回路がスムーズに働くよう助けます。コンサータは1日1回朝に服用すれば1時間ほどで効いてきますので、速効性があるのが便利な点です。また、ストラテラというお薬も睡眠覚醒リズムを改善し、朝すっと起きやすくなった、学校や会社に遅刻しなくなったという声が聞かれることも多いです。ストラテラは脳内のノルアドレナリンを増やすことで注意機能を高める働きをします。こちらはコンサータと異なりじわじわと1〜2ヶ月かけて効いてくるのが特徴です。
 いかがでしたでしょうか。これまでは睡眠障害の一つと考えられていた者が、実はADHDの症状の一つであった、という場合があるわけですね。もし皆さんの中に上記のような症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院にお気軽にご相談くださいね。

BZ系(ベンゾジアゼピン)系薬物の適正使用~不安・不眠への効果と減薬時期、依存・離脱症状のリスク~

こんにちは、南浦和駅前町田クリニックです。

今日はベンゾジアゼピン系薬物(以下、BZ系薬)についてお伝えします。

BZ系薬は、抗不安効果や催眠効果、抗痙攣効果を認め、うまく少量を使えば、睡眠や不安などを改善してくれて安全性も高い薬剤です。

ただどうしても依存のことが気になる方もあると思いますので、使用するときに注意したいことについて考えてみたいと思います。

BZ系薬は、特に長期に渡り使用した後に減薬する際に離脱症状を生じやすく、高用量の使用が結果として長期使用につながりやすい、短時間作用型のものほど離脱症状を自覚しやすいなどの特性があります。

ですので、BZ系薬を使う時には、なるべく長期的に漫然と使用しないこと、高用量にならないようにすること、短時間型の薬剤を重ねて使わないこと、などに注意するとよいでしょう。

また、症状が寛解した際には減薬を試みることも重要です。ただし急な減薬をすると離脱症状が強く出現するリスクが高まりますので、2〜4週毎にゆっくりと減薬するほうがよいですね。

当院ではBZ系薬の安全な使用を心がけています。BZ系薬のことでお悩みの方は是非お気軽にご相談くださいね。

うつ病の職場での生産性への影響について~国際比較

こんにちは。南浦和駅前町田クリニックです。今日はうつ病の職場に与える影響を国際比較で紹介してみたいと思います。

うつ病は、職場において生産性を低下させる疾患として知られています。この影響は主に次の二つの指標で表すことができます。一つは「アブセンティーイズム」(休職や欠勤による生産性の低下)、もう一つは「プレゼンティーイズム」(十分に回復しない状態で復職・就労していることによる生産性の低下)です。

世界の8カ国(ブラジル、カナダ、中国、日本、韓国、メキシコ、南アフリカ、米国)のうつ病による「プレゼンティーイズム」、「アブセンティーイズム」を比べた2016年の研究によると、一人あたりの年間のアブセンティーイズムによるコストが最も低かったのが韓国で(181ドル)で、最も高かったのが日本(2674ドル)だったそうです。一方で、プレゼンティーイズムによる一人あたり年間コストが最も高かったのが米国(5224ドル)とブラジル(5788ドル)だったそうです。またプレゼンティーイズムによるコストはアブセンティーイズムによるコストと比べて平均5から10倍高かったそうです。

以上の結果より、うつ病による職場への影響として特にプレゼンティーイズムのコストが高いこと、但し日本では各国の風潮とは逆にアブセンティーイズムによるコストが圧倒的に高いことが示されています。

当院では、休職中・再就労活動中の皆さんのために「リワーク」をご用意しています。職場で想定されるストレスへの対処法や継続可能な働き方の提案、自己洞察ワークや復職後の方との交流など、様々な活動を行っています。ご興味のある方はぜひいらしてくださいね。

~不安を受け入れる~

こんにちは、南浦和駅前 町田クリニックです。

今日は「不安を受け入れる」ことを「ACT」という視線からみてみたいと思います。

ACT:Acceptance and commitment Therapy とは、アメリカ生まれのいわば「第三世代の行動療法」と呼ばれるものであり、日本語でいうと「受容して、コミットする」という治療法になります。今までの心理療法、例えば「認知行動療法」などは「認知を変容させる」ことから行動変化を導くことに主眼をおいてきましたが、ACTでは「すべての体験~恐怖、不安、心理的痛みなど~をそのまま受け入れる」そして「自分が大切だと思う価値に向かって主体的に生きる」ことを重要なこととしています。

例えば、「仕事は誰にも文句をいわれないくらい完璧にしなければ」と思うあまりに職場でパニック発作をおこしてしまう会社員の方を考えてみます。彼・彼女には「仕事は完璧にしなければ」というとらわれ・こだわりがあり、「不安発作がおきたらどうしよう」という不安発作への恐怖と「発作がおきないようにしなければ」いう心理的回避がありますが、それらがさらに不安・恐怖と回避を生み、発作を増強させているという状態にあります。

ACTではここで、あえて不安をそのまま受け入れる、あるいはあじわう、不安を不安としてただ眺めている、という手法をとるのです。これにより徐々にですが、「受け入れる」ことをよしとする心構えがそだち、やがて不安発作そのものの軽減がみられ、最終的には発作があったことを忘れてしまうほどになります。

この「あるがままを受け入れる」という手法は日本古来の森田療法にも通じる方法ですが、単純なようでいて奥が深く、意外に有効でいろいろな症状に応用できますので、お悩みの方はどうぞ試してみてくださいね。そしてもちろん、困っている方は当院にお気軽にご相談くださいね。

ADHD治療薬について

皆様こんにちは、南浦和駅前 町田クリニックです。今日は最近一般にもよく知られるようになってきたADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬についてのお話です。

ADHDとは、「計画を立てたり優先順位をつけるのが苦手」「つめが甘くて最後まで物事を仕上げられない」「約束や用事を忘れる」などの不注意の症状と、「落ち着いていられない」「待てない」「つい余計なことを言ってしまう」などの多動・衝動性、どちらかまたは両方が小学校の高学年以前からみられて(ただし子供の頃に気づかれないことも多いです)、人間関係・学業・仕事での支障をきたしている場合に診断します。

治療薬には大きく分けると2種類あり、1非中枢刺激薬(日本ではストラテラが代表)と2中枢刺激薬(コンサータ)に分けられます。非中枢刺激薬であるストラテラは比較的ゆっくりとしかし着実に、注意・認知機能を改善し、時に睡眠覚醒リズムや気分・不安にもよい効果が出ると言われます。一方で中枢刺激薬であるコンサータは不注意や多動・衝動性に対する確かな効果と、学業・仕事面での改善実績、および即効性が実証されています。全世界でのADHD薬の約7割のシェアを誇るのもその確実かつ早い効果によるものと考えられます。

ここで気になるのは、中枢刺激薬であるコンサータの心血管系に与える影響です。心拍数や血圧がごくわずかに上がるという作用は報告されているのですが、長期連用したときに重大な心血管系へのリスクにつながるのかについて、これまで数多くの追跡研究がされています。結論にはばらつきがありますが大まかに言うと、「心血管系のリスクがない方にとっては、重大な(致死的な)リスクの増悪は認められない」「ただし、重大ではない変化、例えば一過性の不整脈、脈拍上昇やその他の症状の発症頻度はやや上がる」とう報告が大多数を占めます。

いかがでしたでしょうか。ADHDとは正しく治療すれば、生活や人間関係、学業や仕事での達成度が大幅に改善するものであり、「そういう性格だから仕方ない」と放っておくべきものではありません。薬の効果とリスクを正しく知って適切に使用すれば確実な治療効果が得られます。大人やお子さんのADHDでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。

双極スペクトラムについて

こんにちは。さいたま市南区の心療内科「南浦和駅前 町田クリニック」です。

「正常」と「病気」を分けるために便宜的に考案されたものがいわゆる「診断基準」ですが、実際のところは「正常」と「病気」は連続しており、様々な症状を内包する各「スペクトラム」として考えるほうが理にかなっています。

さて「正常」と「躁うつ病」にも同様のことがいえて、「単極うつ病」や「躁うつ病」の診断基準を満たさないものの、「双極性=バイポーラリティ」を持つスペクトラムが存在し、「双極スペクトラム」とよばれます。例えば、高揚しやすい性格、短いうつエピソードを繰り返している、非定型うつ症状がある、24歳以下で発症している、などのケースはそのスペクトラムに含まれます。もし「双極スペクトラム」が疑われる場合には、「単極うつ病」とは治療方法や経過、予後が異なってくるため、お薬への反応性や今までのエピソード、家族歴などから慎重に判断して、時には勇気ある「診断の変更」も必要になります。

皆様が初診時に書いてくださる「問診票」や、再診の時に教えていただくちょっとした情報も、正しい診断とよりよい治療とケアを早期に提供するための非常に貴重なツールですので、今後とも情報交換を密にして、ていねいな治療にあたって参りたいと考えています。

「バイボーラリティ」が気になるとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。

逆境を乗り越える力「レジリエンス」について

こんにちは。さいたま市南区の心療内科「南浦和駅前 町田クリニック」です。

愛する人との別れ、失業、大病、天災など、人生において避けることのできない困難な出来事というのは誰にでも訪れるものですが、その逆境を乗り越え回復する力を「レジリエンス」と言います。「精神的な抵抗力・回復力・適応力」といったところでしょうか。

同じストレスフルな状況にあっても、持ちうるレジリエンスの程度により引き起こされる結果~気分の落ち込みや痛みから、精神病の発病に至るまで~が異なることが報告されていることからも、レジリエンスを高めることがいかに重要かがわかります。

ただし、私たちは一人一人異なる遺伝子(=気質・体質)と異なるバックグランドとを持ち、違った生き方をしてきていますから、レジリエンスをどのように育むかという方法もまたそれぞれ違います。

レジリエンスを高めるための「ポジティブ心理学」を研究しているセリグマン博士(前・アメリカ心理学会・会長)がいくつか良い方法を提唱されているので、ここにご紹介させていただきますね。

<レジリエンスを高めるには?>

1.信頼し助け合える友人や家族を持つ。

2.変化やストレスを人生の一部ととらえ、困難の先にあるものをみる。

3.現実的な目標を設定し、大きな山を一つ一つのステップに分けて進む。

4.問題から逃げずに何らかのアクションを起こす。

5.問題を「自分発見の機会」と捉え、物事を長期的な視野で考える。

6.自己肯定感を高め、希望的な予測を持つ。

7.楽しい活動やリラックスをして、自分の心身の声を聴く。

8.セルフヘルプ・グループ、本、ネットから情報を得る。

9.専門家の意見を聞く。

10.その他、いろいろ・・

いかがでしたでしょうか?少しでもご参考になれば幸いです。

私たち、町田クリニックのスタッフも、皆さまのレジリエンスを育むために少しでもお力になれればと思いながら日々研鑚を積んでおります。

お困りの方はぜひお気軽にご相談くださいね。