パニック障害
パニック障害とは
突然理由もなく、強い不安や動悸、発汗、窒息感、手足の震えといった症状が出現する発作で、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。
パニック発作は、コントロール不能で死んでしまうのではないかという感覚が出現するために救急搬送されることもありますが、パニック発作で死ぬことはありません。「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安や、発作が起きやすい場所や状況(公共交通機関や、広い場所や閉ざされた場所)で広場恐怖が出現するようこともあり、次第に不安を感じる状況を避ける回避行動をとるようになったり二次的に抑うつ状態を生じる場合もあります。
- 動悸、心拍数の増加
- 手足の発汗、ふるえ、めまい
- 呼吸困難、窒息感
- 漠然とした恐怖感・不安感
- 感覚異常、寒気や熱感
- 現実ではない感じ、離人感
- 死への恐怖
環境因子や遺伝要因が関係しているといわれています。パニック障害は決して珍しい病気ではなく、一生の間にパニック障害になる人は100人に1人~2人といわれます。例えれば、新幹線普通車の1車両に少なくとも2人かそれ以上はパニック障害を経験するかもしれないということになります。
パニック障害の治療法
お薬による治療と精神療法的アプローチがあります。
お薬による治療
… 診察で調整します。
主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とベンゾジアゼピン系抗不安薬で開始し、パニック発作を抑えることを第一目標にします。
SSRI は副作用等を考慮して少量から服用を始め、少しずつ服用量を増やし維持量にします。十分な効果があらわれるまでに2~4週間かかるため、速効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬を一緒に服用して、パニック発作がこれ以上起こらないようにします。
薬の適切な服用で「パニックをおこさず乗り切れた」という体験を増やしていくと、次第に予期不安や広場恐怖も改善されます。
精神療法的アプローチ
… 心理士によるカウンセリングを定期的に行います。
薬物治療に加えて精神療法の併用をすると効果的です。とくに、認知行動療法という治療法は、薬による治療と同じくらいパニック障害に治療効果があることが認められています。
認知行動療法は、パニック障害の広場恐怖で行動に制限ができてしまっている際、特に有効です。物事ができなくなっていることに対して、心理士と一緒に行うことで、「できた!」という達成感や満足感を体験していきます。
この体験を繰り返すことで、「不安はあるけどできた」「自分は大丈夫だ」と言うポジティブな思考を身につけていきます。そのようにして、パニック発作が起こるシチュエーションの克服、そして症状の改善に繋げていきます。